キラー・ナマケモノ

映画

※ネタバレあり

2023年のアメリカ映画(日本公開は2024年)。

何でか分からないけど、本来は捕食者であるワニをも返り討ちにしてしまうくらいクソ強いナマケモノが、密猟者に捕まってパナマのジャングルからアメリカに連れて来られる・・・というところから始まる。
そうとは知らずに成り行きでそのナマケモノをゲットしたSNS中毒の大学生エミリーは、自分が寮の会長に立候補をするにあたって人気を得るために、アルファと名付けたそのナマケモノを寮のマスコットとして飼い始める。
その後は人間に匹敵する知能すら持っているアルファに、次々と寮の仲間達が影で襲われ餌食になっていく・・・という分かりやすい内容。

別に教訓というほどのものじゃないけど、大学卒業まであと一年だというのにSNSで承認欲求を満たすことばかりに腐心していて、卒業後に自分は何をしたいのかも分からずにいるエミリーという主人公の成長物語という要素もある。申し訳程度に。

アルファさんは、パソコンは操作するわ車は運転するわ殺した相手とのセルフィーをスマホで撮ってSNSに投稿するわで、まあそういうノリのツッコミ無用な設定なわけで、しかも刀で刺そうが銃で撃とうがなかなか死なない無敵ぶり。
最後にエミリーがトドメを刺していれば死んでいたかもしれないけど、瀕死の状況で人間の言葉でたどたどしく「ホーム」(意訳すれば「故郷へ帰りたい」)と口にするアルファを見て、エミリーは思いとどまる。
そもそも故郷のジャングルから人間の勝手で連れて来られたことを思えば気の毒な話ではあるので、最後はパナマのジャングルに返されて元の生活に戻りましたとさというコンパクトなお話。

アルファが何で人間並みの知能(しかも文明社会に来たばかりなのに当たり前のようにデジタル機器や車も使いこなす)や、不死身とも言える強さを持っているのかは一切説明はないので、まあそういうもんだと割り切って観る映画・・・というのはいいとしても、アルファの行動の理由まで意味不明なのはもうちょっとどうにかならなかったのかと思う。
最後に故郷へ帰りたいと漏らすわりには、最初からエミリーを窘めてアルファを故郷へ返すべきだと言っていた彼女の友人のマディソンまでをも殺そうとしていたし、何がしたかったのかよく分からない。
百万歩くらい譲って強引に解釈するなら、ここ(寮)で好きなように生きられないならせめて故郷に帰りたいと泣き落としをしてエミリーにトドメを刺されるのを回避した・・・と見れないこともないかもしれない。
・・・まあどうでもいいけど。

ナマケモノが無敵の殺人ビーストというのは過去に例はなかっただろうけど、この手の動物が人を襲う系の映画は昔から沢山あるし、動物どころか何なら植物(トマトとか)や無機物(冷蔵庫やコンドームとか)ですら過去の作品ではキラーになっているので、今更ナマケモノが人を襲う映画という程度ではそれほどのインパクトはないんですよなあ・・・。

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