原作は日本の漫画の『寄生獣』だけど、これはその原作をモデルにしたネットフリックスのオリジナル脚本の韓国ドラマ。
韓国の映画はたまに観るけど、ドラマをちゃんと観たのはこれが初めてかもしれない。
ネトフリは何回サブスクをやめてはまた再開してというのを繰り返しているかもはや覚えていないけど、『シティーハンター』の実写版を観ようと思って再開した際に、折角だから他の作品も観ておくかということで視聴。
ストーリーは、まず冒頭で宇宙から卵型の物体が大量に地球に飛来し、孵化した寄生生物の一匹が韓国のフェス会場の一人に寄生。頭がパカッと割れるお馴染みの寄生獣のあのビジュアルで殺戮が繰り広げられるシーンから始まる。
会場にいた客が撮影した映像で事態を把握した韓国政府は、寄生生物対策の特殊部隊「ザ・グレイ」を結成し、寄生生物の殲滅に乗り出す。
一方、スーパーの店員である本作の主人公のチョン・スインは、レジの会計にやって来た客の男と些細なことで揉め事になり、そのことで逆恨みされて帰り道に襲われてしまう。
男に刃物で何度も刺されながらも茂みに逃げ込んで倒れ込んだところへ、ちょうど近場へ飛来して来ていた寄生生物の一匹に体内に侵入される。
本来であればそのまま脳を食われ、体を乗っ取られてスインは死ぬところだったが、瀕死の重傷を負っていたことで先にそちらの傷を治さなければ共倒れになってしまうことから、寄生生物はやむを得ず脳を奪うことを諦めて怪我の治療を行う。
その結果、スインは助かりはしたものの、一日の間に15分程度しか彼女の体を使うことが出来ないという(その間はスイン本人の意識はなくなる)寄生生物と共存状態になってしまった。
一方、まともに人間の体を奪うことに成功した寄生生物達は既に多くが集まって組織化しており、社会を乗っ取る計画を進めている。
その過程でスインの存在を知り仲間に引き込もうとするも、スインに寄生した、後に「ハイジ」と名付けられることになる寄生生物はその申し出を拒否し(自分はまともにスインの体を乗っ取れなかった変種であることからいずれは排除されるだろうという警戒のため)、そこから両者は敵対することになっていく・・・といった感じ。
主要な人物はスインのほかに、姉と妹が寄生生物に狙われたことで成り行き上スインと出会い行動を共にすることになったヤクザの鉄砲玉の青年ソル・ガンウ、「ザ・グレイ」を率いる女性チェ・ジュンギョン。主にこの三人の視点に重きが置かれている。
寄生獣の原作は結構好きで読んでいたけど、過去の日本の実写映画もアニメもなんかしっくり来なかったので、この韓国版もストーリーがオリジナルということもあるし余計にあまり関心はなかった・・・のだけど、面白くて一気見した。
寄生獣のベースである設定を用いているだけで舞台は韓国だし登場人物も完全にオリジナルではあるものの、所々の展開で原作のオマージュが見られて「あ、この設定は」なんて懐かしく思ったりもする。単にオマージュというだけだからもちろん原作を知らなくてもそこら辺は全く問題ない。
人間に寄生した後のおぞましいビジュアルへの変形や、その姿でのアクションシーンも結構ちゃんと作られていて見応えがあるし、人間ドラマも主人公のチョン・スインと彼女に寄生した「ハイジ」との関係だけでなく、周りの複数の主要人物達もそれぞれが背負っている人生についてある程度丁寧に描かれていて、ホラー作品でありながらも本質はやや哲学的な人間ドラマであるという点は原作に対するリスペクトが感じられる。
「ザ・グレイ」のリーダーであるチェ・ジュンギョンは、寄生生物絶対殺すマンなキャラクターで最初の方はちょっと狂気じみている。
最初に警察署にやって来て署員達に寄生生物の存在を明かして対策のレクチャーをする際は、周りが引くほど不自然に陽気に振舞っていて漫画チックなキャラだなーと思った。
・・・のだけど、そういう振舞いはそこの場面だけで以降は特にふざけもせず冷静なキャラになっているので、最初のはっちゃけ具合は何だったんだろうかとちょっと思ってしまった。
最終話では原作漫画の主人公であるイズミシンイチ(菅田将暉が演じている)が寄生生物に詳しいルポライターとして登場するけれど、これはただの原作ファンへのサービスシーンというだけであまり深い意味はないのかもしれない。
ストーリーとしては一応綺麗に決着が付いているので、更に続くような伏線を残す終わり方はしていないのだけど、概ね原作ファンにも好評らしいのでシーズン2が作られるってこともありそうな気はする。