サイレントヒル2(リメイク)

ゲーム

2001年にPS2で発売されたゲームのリメイク。
そんなに昔のゲームを2024年現在の技術で一から作り直しているわけだから、当然ながら景色などのグラフィックの美しさには目を見張るものがあって当時のオリジナル版をやっていた人間としてはとても感慨深い。
サイレントヒルと言えば町の中の辺り一面に立ち込める「霧」が重要な要素だけど、このリメイク版もしっかり霧に包まれた不気味で不穏なサイレントヒルの町が描かれている。

なぜ1ではなくいきなり2のリメイクなのかというのは、1と3はストーリーに繋がりがあるけど、2に関しては舞台がサイレントヒルであるというだけで登場人物やストーリーは独立しているというのが大きい。
また、歴代シリーズの中でもおそらく一番評価が高いのが2だった・・・というのも理由なんじゃないかと思う。
自分は開発が海外のチームに移行してからのシリーズは一部しかプレイしていないけれど、日本で作っていた1~4作目までは全てのエンディングを見るくらいにはハマって遊んでいた。
その中でも、自分もやっぱり2の出来が突出して良かったと思っている。
どこがそんなに良いのかというと、自分以外で2を高く評価している人の多くも同じだと思うが、ホラーゲームとしてのゲームプレイの面白さもあるけど、一番はやっぱりストーリーが良かったという点に尽きる。
最後の真相に辿り着いてからエンディングを迎えるに至るまでの流れは、ただひたすらに哀切感に包まれることになる。
以前にYouTube等で色んな実況者がこのゲーム(オリジナルのPS2版)をプレイしている動画を観たけど、さすがに最後の結末には涙を禁じ得ず何も言えなくなってしまう様子を見て、やっぱり多くの人の胸を打つストーリーのゲームだったんだなと再認識させられた記憶がある。

前置きが長くなったけど、今回のリメイク版について。

ストーリーは、主人公のジェイムスの元に、3年前に病気で死んだはずの妻メアリーから「サイレントヒルで待っている」という内容の手紙が届く。
死者から手紙が届くなんて有り得るわけがないと思いながらも、それでももしかしたら・・・という淡い希望を胸に、ジェイムスはかつてメアリーと旅行で訪れた思い出の町サイレントヒルにやって来る。
・・・というところから始まり、不気味なクリーチャーが徘徊する霧に包まれたサイレントヒルの中で、何人かの奇妙な人物との出会いもありつつ、メアリーを探して彷徨っていくという内容。

登場人物、ストーリー、訪れるロケーションといった内容はほぼ全体的にオリジナル版そのままの再現になっているけど、以下のような今作で追加や変更された要素もある。

・オリジナル版は英語音声に日本語字幕のみだったけど、今回は日本語音声もある
・ゲーム内で発生するイベントの一部は発生場所が変わっている
・一部の謎解き要素はあえてオリジナル版を踏襲せずに新しい謎解きに置き換わっている
・オリジナル版では入れなかった建物に一部入れるようになっている
・車や店の窓、棚などのガラスを叩き割るとアイテムが手に入ることがある
・戦闘はオリジナル版にはなかった回避アクションが追加されており、舐めプしていると余裕で殺されるくらいの難易度になっている

謎解きに関しては、オリジナル版をプレイした人でも新鮮に謎解きが出来るようにという意図で新しいやつにしたんだろうなと思う。
ちなみに、ゲームを進めていくと部分部分で何か調べられるようになっている所があって、調べてみるとそこにある何らかの物や景色に注目をするシーンがある。
ただそれだけで特に何かが起こるわけでも、ゲームの進行に影響があるわけでもないのだけど、これはオリジナル版にあった要素(謎解きやイベントシーンなど)で、今回のリメイク版では取り入れられなかったり変更をしたものをファンサービスとして見せているらしい。だから、当時のオリジナル版を遊んだ人なら「あ、これは!」なんて思い出すこともあるといった具合。

戦闘に関しては、このゲームの敵はボスどころかザコ敵もかなり殺意が高い上に屋内のステージでは嫌がらせかと思うくらいの数や配置で出て来たりして、明らかにオリジナル版よりも難易度は高い。
正直難易度をノーマルにして始めるとこの手のアクションに慣れていない人にとってはハードなんじゃないかと感じるくらいの難しさに感じられると思う。だから戦闘よりもストーリーを楽しみたいという人はイージーで始めても良いと思う。
オリジナル版にはなかった回避のアクションが導入されていることもあって、ゴリ押しで攻撃していたら反撃されてザコ敵が相手でも大抵はやられてしまう。だからきちんと攻撃と回避を使い分けてヒット&アウェイで戦わないといけない。
自分はノーマルでやっているけど、常に銃の弾切れや回復アイテム切れへの不安を感じながら遊んでいる状態でずっと緊張感から解放されない。それもまたホラー要素に一役買っているとも言えるし、戦闘に重きを置いていないプレイヤーにとっては余計なしんどさに思えるかもしれない(だからこそイージーでプレイした方が良いかもしれない)。
近接攻撃の武器は壊れてなくなるということはないので、弾を温存するためには近接攻撃も使いつつ戦うべきなんだけど、とにかく序盤から出てくるザコ敵でもトリッキーな動きで防御や回避、カウンター攻撃や一気に距離を詰めて大ダメージの抱きつき攻撃をして来たりするので、ついつい離れた所からの銃撃で倒したくなってしまう。
また、このゲームはボス戦もいくつかあるのだけど、これに至ってはギミックのヒントが特にないまま戦わされるので、当然初見ではそんなことにはそうそう気付かない。そのため、真っ向勝負でかなりの弾薬や回復アイテムを消費させられてしまい、何とか倒すことは出来てもそこから先のプレイをアイテムがカツカツの状態で進めなければならないという感じになるので、その不安や緊張感がなかなかエグい。
そんな状態で探索をしていてやっとハンドガンの弾を見つけたと思ったら2発だけとか、また別の場所ではショットガンの弾を見つけたと思ったら1発だけとか、発狂しそうになる(オリジナル版では今作ほどの戦闘の難易度ではなかったので、これを良い意味で捉えるか悪い意味で捉えるかは意見が分かれると思う)。

個人的に演出面で評価したいのは、このゲームは表の世界と、血と錆に塗れた裏の世界を各ステージで行き来するシステムになっているけれど、その移行の仕方が2も含めた初期のサイレントヒルシリーズを踏襲している点。
開発が海外に移って以降のサイレントヒルは、表世界と裏世界の移行の仕方が、周囲の壁などが徐々に剥がれ落ちたり戻ったりという分かりやすい視覚的な演出になっていた。これは劇場版映画のサイレントヒルでも同様だった(と言うより映画から始まった演出方法だったっけか? 忘れたけど)。
そういう演出もそれはそれで良いのだけど、日本で開発していた頃のサイレントヒルはそういう派手な演出ではなく、どこかの時点で部屋を移動したりするといつの間にか裏の世界に入り込んでいた・・・みたいな切り替わり方だった(表の世界に戻る時も同様)。
オリジナルの2作目もそうだったので、今回のリメイク版でもその演出が踏襲されていて、「おお、元祖サイレントヒル式の表裏の移行だ」と懐かしくなると同時に感心させられた。

また、サイレントヒルのシリーズでは特に有名な敵キャラでレッドピラミッドシング(赤い三角頭)というのがいるけど、それが初めて登場したのもこの2作目だった。


あまりに人気なのでファンからは「三角様」なんて呼ばれているけど、後のシリーズで開発が海外に移行してからも度々登場するようになっていて、個人的にはあんまりそれには興味が持てなかった。ただ人気キャラだから出してるだけって感じだったので。
・・・と言うのも、サイレントヒル2に登場する人物達や各種のクリーチャーにはそれぞれに意味があって、三角様もやはりジェイムスにとって重要な役割を持つ敵キャラになっている。
だからこそ、ただビジュアルで人気が出たからと言って特にこれと言った意味もなく三角様を出すようになった後のシリーズにはあまり関心が持てなかったという感じ。まあいいんだけど。

それと、オリジナルの2作目と同じく今回のリメイク版でも山岡晃氏が手掛けている音楽も素晴らしい。
特にピアノがメインの曲『Promise』はサイレントヒル2の一番の代表曲だと思うけど、このゲームの世界の物悲しい雰囲気にぴったりはまっていて昔から気に入っている。

最後に、このゲームはオリジナル版と同じくマルチエンディングになっており、クリアするまでにプレイヤーの取った行動でどのエンディングを迎えるかに分岐する。
どれを取っても手放しで喜べるとは言えないエンディングではあるんだけど、それらとは別にサイレントヒルのシリーズ伝統の悪ふざけのエンディングもあって(2種類ある)、ちゃんとそれもオリジナル版に忠実に盛り込まれている。

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