アラーニェの虫籠

映画

監督の坂本サク氏が、原作、脚本、アニメーション、音楽まで全部一人で手掛けるという形で作られたアニメ映画。
単に予算がないからというよりも、坂本監督が自分の頭の中にある構想を可能な限り忠実に作品化するために、敢えてほぼ全部を一人で制作という方法に至ったそう。
とはいえ、本作で登場するキャラクターの声まで坂本監督がやっているというわけではなく、声優に詳しくない自分でも名前くらいは聞いたことがある花澤香菜をはじめ、ちゃんと声優の人達を起用しているし、プロデューサーも別にいる。

ジャンルとしてはホラーで、ストーリーは、いわくありげで不気味な雰囲気の巨大な集合住宅に引っ越してきた主人公の女子大生りんが、ある日、この集合住宅に住んでいる老婆が救急車で搬送されていくところに出くわし、ストレッチャーで運ばれていくその老婆の腕からデカい虫が這い出して来るのを目撃する。
後日に民俗学者の青年と出会ったりんは、それが心霊虫というものであることを知り、そこから徐々に日常がおぞましい狂気に浸食されていくといった内容。

かなり抽象的な内容ではっきりと説明はされない要素が複数あるため、結局真相は何だったのかというのは、想像・考察を求められる作品になっている。

正直作品の内容自体が万人向けではないのはグロテスクなポスターからして容易に想像は付くし、ほぼ一人で制作しているのでアニメーションが乏しい等の品質面でも評価が芳しくないということを、実際に事前に色んなサイトでレビューを読んでいたけれど、それらを承知の上で鑑賞した。
自分は万人向けしそうな作品も、そうではない作品もどっちも好きなので、不穏な雰囲気でグロテスクな要素のあるホラー、分かりやすく描かれておらず「あれは何だったのか」といった想像を要するストーリーという本作の特徴も好みではあるので結構楽しめた。

何と言うか、こういうタイプの世界観やストーリーの作品って、昔の18禁のアドベンチャー形式のPCゲーによくあった気がする。エロ要素は別になくてもいいようなシナリオ重視のやつ。

ちなみにタイトルの「アラーニェ」というのはラテン語で「蜘蛛」のことらしい。

本作の後に、『アムリタの饗宴』という、やはりほぼ全部を坂本監督一人で作った続編的な作品も公開されていて、まだ観ていないけどそっちには今作の主人公であるりんも脇役として登場している。

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